梅雨に入りジメジメした日が続く季節になりました。この時期は湿気が多く、この湿気が体内に侵入することによって体に 様々な変化を生じる季節でもあります。
そこで今回は中医学による湿気と体への影響についてお話しさせていただきます。自然界の気候の変化などにより、人体を外部から発病させる原因となるものを外因といい、風、寒、暑、湿、燥、火の六種に分類されます。

湿は、長夏(夏の終わりの一ヶ月)の主気とされます。しかしこの考えは、中国大陸の中原地方(黄河中央部)の気候を前提にしたものであり、わが国では梅雨や秋の長雨の時期に邪気となることが多くあります。「五行」では土、「五臓」では脾と深い関係を持ちます。湿邪(余分な水分)の性質と、それが引き起こす病状には次のものがあります。

①    湿は陰性の邪気で、人体の下部を犯しやすい。[下注性]
湿は水に似て、下に流れる性質があります。そのため湿邪は、人体の下部を犯すことが多いのです。例えば、水腫などは下肢に著明に現れます。その他、帯下、脚気、下痢など下半身の症状が現れやすくなります。

②    湿は重く、停滞する。[重濁性、粘滞性]
湿邪が体内に侵入して陽気が損なわれますと、頭や体が重く、四肢がだるいなどの症状が現れます。また湿邪が関節に滞ると、関節が痛み腫れます。これを体重節痛といいます。湿邪には、動きが遅く停滞する性質があるので、湿邪による病は治りにくく、繰り返し再発することもあります。

③    湿は、脾胃を犯しやすい。
湿邪が脾胃を犯して、消化吸収能力を損ない、水分を運ぶ能力が悪くなると、下痢、尿量減少、腹水、水腫などの症状が現れます。

④自然界以外の湿邪
天候の湿邪以外にも、汗で濡れた下着を長く着た場合などにも湿邪による疾病になることがあります。現代では汗を吸い取りにくい化学繊維の下着や、パンティー・ストッキングなどを着用することにより、湿邪による病をひき起こすことがあります。

中国の湿度が高い地域では辛いものを食べる習慣があります。辛いものを食べてたくさん汗をかくことにより、湿が体内に溜まるのを防ぐことができます。四川地方では湿度が高いため、四川料理は山椒や唐辛子を使った辛いものが中心となっています。ですからこの時期汗をかきながら四川料理を食べるのも健康を維持する方法と言えるでしょう。

湿邪は深刻な症状の原因となり得る邪気です。当院では脈診、舌診などを含め総合的に診断をいたします。その上ではり・きゅうを使って湿邪を取り除き、気血の流れを良くすることで痛み、痺れ、むくみ、その他体の不調を改善します。
当院の治療は痛くないはり、熱くない温かいきゅうですので気持ち良く治療していきます。原因がわからず体調がすぐれない方は早めにご相談ください。